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第13回『このミステリーがすごい!』大賞、優秀賞を受賞して作家デビューをした神家正成のウェブサイトです。

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日々雑記BLOG

過去の日記

 新人賞を受賞してデビューした半熟新米作家が、本物の作家になるために悪戦苦闘する日々の呟きです。Twitterのまとめも多いです。

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2019年 1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2020年 1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2021年 1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2022年 1月2月3月

2017年1月の日記

01日 今年もよろしくお願い申し上げます!
03日 一富士二鷹三茄子、四五六がなくて、はい『七四』
06日 歴史時代小説への想い
07日 鈴木輝一郎さんの小説講座
08日 我らが礼三郎(笑)の誕生日
12日 伊東潤兄貴のトークショー
13日 Operation-S(三省堂書店大作戦)展開中!
14日 娘へ
15日 元南スーダン特命全権大使が『深山の桜』を!
16日 Operation-S(三省堂書店大作戦)戦線拡大中!
17日 阪神・淡路大震災の日と災害派遣
19日 げみーず
21日 伊東潤さんの読書会
23日 操觚の会のイベント

2017年1月1日  今年もよろしくお願い申し上げます!

 一年の計をTwitterで呟き、加筆してFacebookに投稿して、ウェブサイトにまとめる(笑)。いやあおもしろい時代です。

 皆様、あけましておめでとうございます。年越しも年明けも執筆……ではなく、なぜかおまけ掌編をひたすら作っております(笑)。
 恒例の今年の目標です。
1 3作目の出版
2 他社デビュー
3 ウェブサイトの活用
4 執筆ダイエット
 今年は勝負の年と心得ています。執筆、執筆とにかく執筆!

 毎年同じパターンなのはご愛敬(笑)。3作目は宝島社から植木シリーズです。夏には出したいですね。そしていよいよ他の出版社からのデビューを、ぜひ今年中に成し遂げたいです。幸いなことに数社からお声を掛けていただいております。初めての取り組みにも挑戦する予定です。わくわくしております!

 去年は思いがけない事態で執筆時間があまり取れませんでした。とにかく作家は書いてなんぼです。おまけ掌編を作るのが作家の仕事ではありません(笑)。書いて書いて書きまくる!
 為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり
 亡き祖母が送ってくれた言葉を胸に今年は猛進します!

 戦車の如くね(笑)。
「前進よーい、前へっ!」

74式戦車

74式戦車

74式戦車

 ちなみに74式戦車は、リッター400メートル。搭載できる燃料は主タンクに780リットル。単純計算の航続距離は312キロメートル。燃料がなければ戦車は進めません(笑)。定期的に補給物資を受け取りながら前進します!

 お正月なのでおめでたいことを呟こうと、少し前の重版出来を呟きました。

 お正月なので縁起のいいことを。少し前の話ですが『このミス』大賞作家のアンソロジー『10分間ミステリー THE BEST』が重版出来(3刷り)しています。
 私は『七四』のおっさん主人公坂本の若き時代の「誰何と星」というSSを書いています。『七四』読後であれば、懐かしく感じるお話です。
 坂本の機甲生徒の青春時代、同期との微笑ましいひと時です。ただ、『七四』読後ですと、何とも言えない懐かしくもほろ苦い物語にも読めると思います。
 自衛官たちの怪談話、と編集者さんの考えた副題がついていますが、SSなので最後の1行でひっくり返すことを心掛けました(うまくいったかどうかは不明です。笑)。

 また、2015年10月発売の『5分で読める! ひと駅ストーリー 食の話』(こちらは現在2刷り)では『深山の桜』の亀尾が出てくる「戦闘糧食」というSSを書きました。
 こちらは『深山の桜』の数年前、東日本大震災の災害派遣の時のお話です。ほろ苦く切ないショートショートです。
『深山の桜』の読後であれば、亀尾のセリフに込められた深い想いを感じていただけると思います。

 時系列は「誰何と星」→「戦闘糧食」→『深山の桜』→『七四』となります。

 SSを書くのはとてもおもしろいです。よろしければご覧になってください。すべて同じ世界観です。今後宝島社以外の出版社から刊行する作品も、できるのであれば同じ神家サーガ(笑)を展開したいです。

『10分間ミステリー THE BEST』再録もありますが、『このミス』大賞作家の磨かれた珠玉のSS集です。ぜひ!  お勧めは全部です!

2017年1月3日  一富士二鷹三茄子、四五六がなくて、はい『七四』

 何とも言えない初夢を見て(笑)、呟きました。

 皆様、どんな初夢を見られましたでしょうか?
 一富士二鷹三茄子といわれますが、富士山の夢を見損ねた方は、ぜひ『七四』にて富士山を堪能してください(笑)。
『七四』の主な舞台は富士山の裾野、標高830メートルの高さにある富士学校です。富士山を間近に望む、GWに花見ができる場所です。
pic.twitter.com/cLMNsTe2zf
 普特機という普通科(歩兵)、特科(砲兵)、機甲科(戦車)の教育を行う学校で、私も若き日に9か月間教育を受けました。

『七四』では女性警務官の甲斐三尉が捜査する、密室状態の74式戦車で死体が見つかった現代の富士学校での推理劇と、元自衛官の坂本の回想で、機甲生徒という特殊な教育隊の富士学校が描かれます。二つの富士学校での出来事は最後には結びつき、意外な真相が明らかになります。
pic.twitter.com/cbCWxeRBMG

富士学校

 坂本の機甲生徒時代の話は、私の実体験が元になっています。あの非常呼集のシーンも実話です。下の懐かしい写真で、隊旗を持って死にそうな顔をしているのが私です(笑)。
 富士山に戦闘服で登った話もいつか書きたいですね。ただの登山ではありません。戦闘服に半長靴、背嚢を背負い、数時間で登る訓練(笑)です。私は無線機を背負い、高山病になりながら何とか踏破しました。今じゃ絶対無理ですね(笑)。
pic.twitter.com/hkLsRHC3IN

機甲生徒

2017年1月6日  歴史時代小説への想い

「操觚の会」のイベント内容がnoteに掲載されたのを受け、Facebookに投稿しました。

 私も末席に連なっている「操觚の会」(FacebookTwitter)の第一回のイベント(2016/10/12)の講演内容(こちらです)が記事になりました。日々雑記の記録ははこちら。織田信長に関してのイベントで、当日は演舞などもあり、とても有意義で楽しかったです。先月は忠臣蔵の関してのイベントを行い盛況でした。次回もイベントを予定しております。
 多くの方のご愛顧をたまわりますようお願い申し上げます。

 ところで、なぜ『このミステリーがすごい!』大賞出身で、歴史時代小説などまだ書いてもいない自分が、歴史小説イノベーション「操觚の会」の会員なのか、不思議に思われる方もおられることと思います。
 それには父の影響があります。私の父は自衛官でかつ大変な読書家でした。父の部屋は、書物ですべての壁が埋まっていました。公のために尽くす桜星の矜持と物語を愛する喜びを、私は父の背中から学びました。このことに関しては『このミステリーがすごい!』大賞の受賞の言葉で書きました。
 様々なジャンルが父の書棚にはありましたが(冒険小説、海洋小説、戦記物が好きなのも父の影響です)、最初に手に取ったのは吉川英治の『三国志』でした。ページを開いた瞬間、黄河のほとりに佇む劉備元徳の姿が脳裏一杯に広がり、めくるめくすばらしいひと時を体感したのです。
 それから司馬遼太郎、藤沢周平、池波正太郎、陳舜臣、山岡荘八……漁るように歴史時代小説を読みました。多くのすばらしい作家に巡り会い、偉大な先人たちと歴史をともに経験してきました。
  そう、私の現住所はミステリーなのですが、本籍は歴史時代小説なのです!
 浅田次郎さんや宮部みゆきさんのように、現代も歴史時代物も書ける小説家を目指しています!
 歴史時代物のプロットと執筆構想も多数持っております。ご依頼お待ちしております!

 作家としてデビューするため、まずはミステリーという分野と自衛隊というテーマを戦略的に選び、計画を立案しました。デビューした後は、マーケティング的に差別化戦略で自衛隊物+αで生き残りを懸けています。
 生き残り戦略として自衛隊物で攻めていますが、自衛隊物しか書けないのかと思われてしまう危惧も当然、抱いています。戦略的にどう進めていくのか難しいところもあるのですが、今年は少しずつ新しいことにも挑戦していきたいです。
 その一環として宝島社から出す植木シリーズの次回作(第3作目)では、主人公の一人として女性警察官を登場させる予定です。自衛隊はリアリティを持って書けるが、警察を書くことができなければ、ミステリー作家として生き残っていけません。

 同時にデビュー作としては難しいと思っていた歴史時代小説への挑戦をしてみたいです。歴史時代小説は新人賞が少ない(間口が狭い)、かつ資料などの精査が必要(時間とお金が掛かる)ということで優先順位が低くなっていました。
 あ、ちなみに歴史小説と時代小説という区別がありますが、両方とも書きたいです。
 戦国、幕末、近代物、中世、書きたい時代、テーマは山ほどあります(笑)。必ず書き上げると決意しているのが、清水宗治(ご先祖様です)の一代記と、日本と朝鮮半島をからめた幕末から現代までの近代物(浅田さんの『蒼穹の昴』の朝鮮半島版のような内容)の二つです。

 あと歴史小説に入るかどうか微妙ですが、第二次世界大戦のフィリピンのレイテ島の話も、必ず書きたいです。実は祖父は帝国陸軍主計中尉で、レイテで戦死しています。元航空自衛官で大好きな先輩作家の古処誠二さんの紡がれる物語のようなものを、私もぜひ書いてみたいですね……。

 敬愛する司馬さんが『竜馬がゆく』を書き上げられた年齢も、『坂の上の雲』の連載を始められた年齢も、私は過ぎてしまっています。焦る気持ちもありますが、一歩一歩愚直に進むしかありません。

 平成の司馬さんに!!! おれはなる(笑)!!!

 いや平成の司馬遷になるくらいの決意でなければいけませんね。まだまだ、遼(はるか)に及ばざる者ですが、目標は高く持たないと(笑)。
 ちなみに司馬さんは戦車部隊の大先輩です。司馬さんは終戦時、栃木県の佐野市の第1戦車連隊に所属しておられました。私は北海道恵庭市の第72戦車連隊におりました。新米半熟作家の後輩のたわごとも、笑って聞き逃してくれていると思いますよ(笑)。

2017年1月7日  鈴木輝一郎さんの小説講座

 昨年11月に鈴木輝一郎さんの小説講座にゲストとして参加しました。その時の動画が公開され、呟きました。

 昨年の11月にゲスト講師として電話で参加した、鈴木輝一郎さんの小説講座のダイジェストが公開されました。受講生からの説明に関しての質問に答えています。
 自衛隊という特殊な世界を伝えるために説明は多くなりがちですが、いかにそれを少なく端的に伝えることができるか、永遠の課題ですね。難しいです。今も試行錯誤の毎日です。

 数日後には、別の動画もアップされ、また呟きました。

 昨年11月に電話で参加した鈴木輝一郎さんの小説講座の第2弾です。鈴木さんの「作家になるために最も必要な才能とは」と「小説を書くうえで最も大切なこととは」という質問に答えています。
 正解のある回答はないと思いますが、今現在自分が思っていることを言葉にしました。難しいですよね……。

 ちなみに2015年5月に鈴木さんのイベントに参加した時の動画もあります。記事はこちら

 自分の声を改めて聞くと、深いため息が出ます(笑)。

2017年1月8日  我らが礼三郎(笑)の誕生日

『深山の桜』、『七四』の陰の主人公(笑)、植木礼三郎の誕生日に呟きました。

 今日1/8は宝島社植木シリーズ(笑)の主人公、我らが植木礼三郎の35歳の誕生日です。あいつ何やってんのかな……。たぶんバー『イージス』で桜本潤と一杯やりながら、「なんで、あたしの誕生日なのに雨なのよ」とこぼしているでしょう(笑)。ちなみに『深山の桜』の杉村泰悌は、昨日が誕生日でした。

 キャラクターを作る時、誕生日はかなり考えて設定します。同じ誕生日の有名人やら、季節やら、早生まれやら、誕生日って結構その人に影響を与えていると思います。同時に年表をしっかりと作成します。特に自衛官の場合、入隊や教育期間、昇任時期など重要です。この作り込みに時間が掛かります(笑)。
pic.twitter.com/3ksgTRCXzk

年表

 鈴木輝一郎さんや大沢在昌さんを始めキャラの重要性を説かれています。相関図はもちろん、誕生日と名前を設定した後、私はそこに自分の想像力を越える要素を入れるために、四柱推命などをして肉付けします。するとキャラに厚みが出ておもしろくなります。まあ、いざ執筆すると変わり始めますがね(笑)。
pic.twitter.com/tewipPJopG

ストーリーエディタ

 植木の誕生日なのでこぼれ話を一つ。植木は当初の設定ではオネエ言葉ではありませんでした。植木は『深山の桜』の第四章で登場するのですが、最初のセリフを発する時に、なぜか……不思議な現象でした。そんな植木の秘密が次回作では少し明らかになるかも。ちなみに『七四』のおまけ掌編でも少し触れています。
pic.twitter.com/mfLHbsDC5m

 お得なおまけ掌編のお申込みはこちらから!。

2017年1月12日  伊東潤兄貴のトークショー

 敬愛する伊東潤兄貴のトークショーに参加して呟きました。

 昨日はとても楽しみにしていた、伊東潤さんの『走狗』(中央公論新社)刊行記念トーク&サイン会が、八重洲ブックセンター本店様で行われました。
 ――が、そういう時に限って思わぬ来客と残業が!
 着いた時には既に、最後の質問コーナー。なんてこった! あの来客め、小指をタンスの角にぶつけろ!
pic.twitter.com/RgwYsdGiOZ

 伊東潤さんと八重洲の内田俊明さんの掛け合い、見たかった(無念!)。整理券の受付番号は「1」なのに入場はビリ(笑)。でも最後、「70%書いて30%は読者に委ねる」と天啓のようなお言葉を頂きました。それにしても『走狗』分厚いです。『七四』よりも厚いです。さすが大兄、負けました(笑)。
pic.twitter.com/CLM2ARMab3

伊東潤さんトークショー

 先輩作家の誉田龍一さん、杉山大二郎さん、鳴神響一さんにお目にかかることもでき、楽しいひと時でした。二次会も楽しかった!
 来られると呟いておられた長谷川ヨシテル(れきしクン)さん@yoshiteru_hsgwに、ご挨拶もできました。ご著作までいただきました。ありがとうございました!
pic.twitter.com/7nDXIe2Zrn

伊東潤さんトークショー

 イベントの後の真のイベント(笑)、二次会は本当に楽しいです。誉田の兄貴と鳴神の兄ィ、三人でみっちりどっぷり(笑)小説の話をしました。このお二方とはよく呑むのですが、いつもおいしいお酒をいただけます。お二方とも年上でデビューも早く、兄貴のように慕っております。
 終電が近づき、毎回泣く泣くお別れです。
 今週は正月気分も抜けない月曜日の『このミス』大賞作家の呑み会から始まり、新しい編集者さんとの打ち合わせ、残業と残業(笑)、最後のトークショーで、へろへろでした。
 でも明日から家では本番の闘いが待っています。がんばるべ。

2017年1月13日  Operation-S(三省堂書店大作戦)展開中!

 全国の三省堂書店様にて『深山の桜』を展開していただき呟きました。

 Operation-B(文教堂大作戦)が好調の『深山の桜』ですが、新たな作戦Operation-S(三省堂書店大作戦)が始まりました!
 全国の三省堂書店様で『深山の桜』を大展開していただいております。三省堂書店様特別版のおまけ掌編の特典付き。お近くの方はぜひ、お買い求めください!
pic.twitter.com/RKOXXWcmxN

 おまけ掌編小冊子も本誌に合わせて、めでたく5刷り(笑)!
 まあいくらでも重版できるのですが、すべて自腹で手作りなので、刷れば刷るほど貧ずるのです(笑)。でも発売後1年になろうとしている文庫を、大々的に取り上げていただけるのは、本当にありがたいことです。関係各位に感謝しております!
pic.twitter.com/Wbfy2jmV70

Operation-S(三省堂書店大作戦)

 自分で言うのも何ですが(笑)、おまけ掌編、会心の作です。『深山の桜』を楽しんでくださった方には、ぜひ読んでほしいと思っています。

「アフリカの桜」は事件が起こる前の奇跡の夕暮れ。げみさんのすばらしい装画を見てあふれるように生まれた、記念すべき初掌編です。
「エアメール」は事件の顛末の話。物語のラストの展開を補足しています。『七四』の主人公、甲斐和美視点で、相変わらずの植木の姿が(笑)描かれています。
「アフリカの緑」は『深山の桜』の文庫化記念で付け加えた掌編です。作中では名前しか出ていないある人物が登場しています。現状の南スーダンの子供たちを思うと胸が痛むのですが、希望を込めて書きました。

 いずれも作者公認、出版社黙認(笑)の正式な物語です。この時代、本を売るために何が必要なのだろうか、と考え、おまけや特典で何が相応しいかと熟考して、物語が好きな読者には、やっぱり物語だろう(笑)、と思って始めた小冊子です。
 実は感想をいただけると本編より喜んだりしています(笑)。
 ウェブサイトでもご提供しておりますよ! みなさまぜひ! 感想もお待ちしております(笑)。
https://kamiya-masanari.com/contact.html

『深山の桜』おまけ掌編

 おまけ掌編のような特典は、今後も時間が許す限り積極的に続けていきたいです。イメージとしては映画のエンドロールです。こう、物語が終わって、ほっとしているところに、ほろりやニコリというもお目にかけたいのです。大好きなジャッキー・チェンのNG集のようなエンドロールもいいのですけど、失敗した原稿を載せるわけにはいかないですからね(笑)。

2017年1月14日  娘へ

 娘のセンター試験の前日に、いろいろとたまらなくなり、呟きました。

 娘へ
 6年前の中学受験、第一志望校の合格発表掲示に君の名はなかった。帰りの車中、肩を震わせて押し殺した泣き声を出す君に、父はただハンドルを強く握ることしかできなかった。十分な環境を与えられない不甲斐ない父を許してほしい。

 あれから6年間、父よりも早く家を出て、遅く帰る学生生活を、君は黙々と続けた。君の努力は天が知り、地が知り、父と母が知っている。
 明日からの試験に向けて、君はその小さな胸に、不安や焦り、緊張、後悔……さまざまな思いを抱いているのだろう。

 だが父は思う、君が生まれた日のことを。前日までの雨はやみ、雲ひとつない五月晴れの祝福された日に、珠のように輝く君は我が家にやってきた。君の心があの日の限りのない空で満たされるように父は祈る。

 小さな足で進む君の道を、父と母は全力で護ってきた。だが、これからは君自身でしか歩めない道が広がっている。残念だが我々は見守ることしかできない。
 愛する娘よ。君の行く末に幸あらんことを!

 多くの励ましのお言葉をいただきました。この場を借りてお礼の言葉を申し上げます。ご報告も兼ねて、試験終了後に再度呟きました。

 お陰様で先ほど娘はセンター試験を終え、無事帰宅しました。皆様の温かいご声援感謝しております!
 まだまだ私立、国立と試験は続きます。世界は努力がすべて報われることはなく、ある意味結果は非情で自分が主管できません。娘が何を感じたか聞く術を持たぬ父ですが、最後まで見守るしかありません!

 思えば、娘に何かを伝えなければいけない――というのが、私が物語を書き始めた動機の一つでした。『深山の桜』にも『七四』にも娘への想いはたっぷりと詰まっています。これからも同じでしょう。2010年5月末に最初の応募原稿を『このミス』大賞に送った時、娘は小6、中学受験の真っ只中でした。

 あれから7年、紆余曲折ありましたが、何とか私は2015年にデビューすることができました。あの日からそして今も、娘と妻と共に一歩一歩、歩んできたように思えます。娘を励ましていたが、実は励まされていたのかもしれません。
 泣いても笑ってもあと僅か、想いを貫いた娘の嬉し涙を、見たいです!

『深山の桜』のラスト近くで、亀尾が杉村に問い掛ける言葉があります。あれは実は、私が娘に何度も何度も、問いかけている言葉――想い――なのかもしれません。

2017年1月15日  元南スーダン特命全権大使が『深山の桜』を!

「操觚の会」のイベント内容がnoteに掲載されたのを受け、Facebookに投稿しました。

 なんと『深山の桜』の舞台当時(2014年2月)の、南スーダン特命全権大使であられた赤松武様が、『深山の桜』を読んでくださいました!
 ディテールをほめてくださり感激です。作中に大使は出ておられませんが、深く事件には関わられたはずです。
www.facebook.com/takeshi.akamatsu.mofa/

『深山の桜』では登場人物や事件以外はすべて事実に基づくように、多くのウェブサイトや資料に当たりました。犬が二匹飼われていたことも、派遣隊員からの便りで知り、作中に入れました(もう少し物語に絡ませたかったですが……)。

 現在南スーダンは大変な状況ですが、派遣隊員以外にも多くの方が献身的に努力されています。その想いは必ず実ると私は信じています。

『深山の桜』の終盤、亀尾はイサムという南スーダンの子供に1枚の紙を渡します。そして力強く語りかけます。一部ネタばれなので省略と伏せ字しています。
『深山の桜』文庫版P411~P413から。

 
 イサムを車に乗せる際、何かが落ちた。亀尾は屈み込み、つまみ上げた。
 ――それは日本の有名なキャラクターの絵が入った鉛筆だった。
「イサム、これ、どうした」鉛筆を渡しながら、怪訝な顔で亀尾が聞くとイサムは顔を輝かせた。
「お母さんを探す時に手伝ってくれた軍人さんから貰ったんだ。その人のお陰でお母さんは見つかったんだよ。とても優しい人だった」
 イサムは鉛筆を強く握り締め、アフリカの太陽のように笑った。
 ――俺と同じことを、やっている奴が、いるのか。
 心が、震えた。カンボジアの桜の笑顔を思い出す。
 そしてイサムの将来を思いやる。
 二十年後、この国は一体どうなっているのだろう……。
 胸が苦しくなる。それは誰にも分からないことだ。亀尾は息を小さく吐き、ポケットからメモ帳を取り出した。防水仕様の軍事用のメモ帳だ。油性ペンを取り出し、●●●●●●、大きく力強く書いた。そして、イサムに渡した。東が興味津々の顔で覗き込んでくる。
「これは何だい。サージャン・メジャー」
 イサムは珍しげに、渡された●●を見ている。
「いいか、イサム。お前はこれからも強く生きなきゃならん。お母さんをしっかり護っていくんだ」イサムは頷く。
「辛いこと、大変なこと、心の折れることが必ず来る。そんな時のおまじないだ。

~中略~

 イサムは息を呑み、眼を輝かせた。
「約束してくれ。必ず試練を乗り越えると」
 イサムは力強く頷いた。
 亀尾は踵を付け、統合幕僚長――自衛官の最高位――にするような挙手の敬礼をした。イサムも敬礼を返してくる。
 亀尾はきびすを返しトヨタ車に向かった。
 
 
 南スーダンの子供たち、すべての人々に笑顔があふれる日が、一刻も早く訪れるのを祈ります。

2017年1月16日  Operation-S(三省堂書店大作戦)戦線拡大中!

 Operation-S(三省堂書店大作戦)展開してくださっている店舗様を呟きました。

『深山の桜』のOperation-S(三省堂書店大作戦)好評展開中です。おまけ掌編小冊子の特典配布中です。以下3店舗様では色紙も展開中!
・池袋本店様@ikehon_sanseido
・有楽町店様@yrakch_sanseido
・名古屋高島屋店様@nagtak_sanseido
pic.twitter.com/2LPbkq4lzo

 下記店舗様でも『深山の桜』おまけ掌編小冊子の特典配布中です!
・神保町本店様@honten_sanseido写真左
・そごう千葉店様@chibas_sanseido写真右
・カルチャーステーション千葉店様@caltib_sanseido
・船橋店様@fnabas_sanseido
pic.twitter.com/GJJbrptu1w

Operation-S(三省堂書店大作戦)

『深山の桜』読後に再度、物語の世界を深く味わえる3編の掌編が掲載されたA6・16Pの小冊子です。著者手作りで(笑)、サインとこちらも手作りの落款付きです。ある意味本編以上に気合いを入れて書いた掌編です。思わぬ展開や人物の登場にきっと驚きます。お近くの方はぜひ、お手に取ってみてください!
pic.twitter.com/TcGJIj5Ijh

2017年1月17日  阪神・淡路大震災の日と災害派遣

 多くの人が忘れることのできない日に、自衛隊と災害派遣について呟きました。

 災害派遣――自衛隊法に基づく自衛隊の活動です。戦争に参加したことのない自衛隊にとって、PKO以外で唯一の実戦の場と言えるでしょう。吉田茂元首相の言葉(後述)にあるように、自衛隊が活躍する時は、誰かが不幸になっている時なのです。因果な仕事と言えるでしょう。自衛隊は国民を護る最後の砦なのです。

 当然、自衛官の物語を書こうとする際には、災害派遣は避けては通れません。
『深山の桜』では、東日本大震災に、亀尾は派遣された隊員として、杉村は進路を決める重大なきっかけとして関わります。

『七四』では、阪神・淡路大震災に、坂本は自衛官としての矜持を懸け、甲斐は被災者として関わります。

 作者として心掛けているのは、決して物語のために人の不幸を外から見ないことです。多くの人の心に傷を残している災害などを、自分の創作活動のために利用しないと戒めています。
 不快に感じられる方がいればお詫び申し上げます。
 阪神・淡路大震災の犠牲者のご冥福を祈り、残された人々の幸せを祈ります。

『深山の桜』(文庫版P224)に出てくる、吉田茂元首相が、防衛大学校一期生に語りかけられた言葉を引用します。


 ――君たちは自衛隊在職中決して国民から感謝されたり、歓迎されたりすることなく自衛隊を終わるかもしれない。非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。ご苦労なことだと思う。
 しかし、自衛隊が国民から歓迎され、ちやほやされる事態とは外国から攻撃されて国家存亡の危機にある時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面しているときだけなのだ。
 言葉を変えれば、君たちが日陰者であるときの方が、国民や日本は幸せなのだ。一生ご苦労なことだと思うが、国家のために忍び堪えて貰いたい――。


 忍び堪える多くの『深山の桜』の想いが報われ、多くの人の笑顔があふれる世の中でありますことを、今日この日に心より願います……。

災害派遣

災害派遣

2017年1月19日  げみーず

 げみさんの個展の告知を受け、Facebookに投稿しました。

 げみさんの個展が始まりました!
 幻想的でいて懐かしく柔らかく温かい、げみさんの絵――私はとても好きです。イラストのみならず、げみさんは装画でも大活躍中です。

 私のデビュー作でもある『深山の桜』の単行本の時に、げみさんに装画を描いていただきました。編集者さんから送られてきたメールの添付ファイルを開いた瞬間、息を呑みました。そこには物語のすべてが一枚の絵として見事に表現されていました。
 あまりの素晴らしさに、突然物語が浮かびました。そして、あっという間にできたのが、おまけ掌編としてお配りしている「アフリカの桜」という掌編です。 嬉しくて嬉しくて編集者さんに頼んで、げみさんに掌編を送るという、今思えば恥ずかしいことを(笑)してしまいました。それだけ嬉しかったのです。

 生涯の記憶に残るデビュー作の装画を、げみさんに担当していただいた私は、本当に果報者であり、作家としての第一歩にすばらしい贈り物をいただきました。
 お時間のある方は、ぜひ、げみさんのすばらしい世界に触れてみてください!
 私も時間があればお伺いします!

 げみさんの装画で表紙を飾っている他の作家さんのことを、親近感から「げみーず」と勝手に(笑)呼んでいます。作家の世界に「げみーず」があふれますように!

2017年1月21日  伊東潤さんの読書会

 伊東潤さんの読書会に参加して、Facebookに投稿しました。

  昨日、渋谷のコルクで行われた「伊東潤の読書会、第1弾『国を蹴った男』について語る会」に参加してきました。このような読書会に参加するのは初めてなの ですが、とても濃密でためになるひと時でした。『国を蹴った男』は第34回吉川英治新人賞受賞作。再読して分析しましたが、すばらしい短編です!

 単純に伊東さんとコルクの佐渡島庸平さんの話を聞くだけかと思っていましたが、いきなり2班に分かれ、感想を言い合う実践的な展開に焦りました(笑)。様々な捉え方を聞くことができ新鮮でした。佐渡島さんが言われた、人の感情を切る、キャラの表現、という説明と描写に通ずる指摘が腑に落ちました。

 読者の感想というよりも作家としての捉え方の感想ばかり言ってしまい、ちと反省しております(笑)。その後は伊東さん自ら創作秘話を! メモを取る手が止まりません。そして懇親会、本当に楽しいひと時でした。多くの方に出会えて嬉しかったです。

 次回の読書会は3/4、遠藤周作さんの『沈黙』です! お時間のある方はぜひ!

伊東潤さんの読書会

 私もいつかは自著で読書会を開いてみたいです。いや、やっぱりいいです。恥ずかしくてぶっ倒れてしまうと思います(笑)。

2017年1月23日  操觚の会のイベント

「操觚の会」のイベント内容を、Facebookに投稿しました。

 3/10(金)、操觚の会のイベントに出演します!
 秋山香乃さんの「伊庭八郎 凍土に奔る」(徳間文庫)発売記念、
「幕末剣豪大激論 ラストサムライ最強の男は誰?」

『このミス』大賞作家ですが、なぜか幕末を語ります。何でも挑戦と思い、気安く出演を受けましたが、ここに来て、若干、胃が痛くなっております(笑)。
 そいうはいっても、登壇するからには全力を尽くします。来場された方に満足してもらうべく準備をコツコツと進めております。元自衛官&武道家という切り口から、ラストサムライ最強の男を分析すべく、内容を練って練ってこねくり回しております。
 冷やかし、応援、何でも歓迎です。お時間のある方は、ぜひお越しください!

 会場では『深山の桜』や『七四』のサイン本の販売をする予定です。また著作をお持ちいただければサインもいたします。ご希望であれば為書きも!
 そしておまけ掌編も大量にお持ちします。お気軽にお声をお掛けください!

2014年 10月11月12月
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