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第13回『このミステリーがすごい!』大賞、優秀賞を受賞した神家正成のウェブサイトです。

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さくらと扇 Sakura to Ougi

『さくらと扇』表紙

2020年2月28日刊行 徳間書店 単行本


関東戦国時代の知られざる二人の姫の戦!

秀吉や家康など、迫りくる新しい権威の前に、
ふるさとや愛する人を護り通した女子
(おなご)の戦と、
それを支えた男たちの、熱くて哀しい物語!

 プロモーションページはこちらです。


 戦国時代の関東に、足利尊氏から続く公方の血を受けた二人の姫がいた。信長、秀吉、家康、新しい権威の前に、伝統の家系は翻弄され、運命は急転する。旧来の価値が大変換した乱世の時代に、二人の姫はいかに生まれ、育ち、嫁ぎ、誇りを持ち続けたのか!


『さくらと扇』は、私の初めての歴史時代小説の長編です。

 私は『このミステリーがすごい!』大賞出身で、デビュー作は『深山の桜』という自衛隊ミステリーです。宝島社からは引き続き自衛隊ミステリーを書いてください、と依頼を受けたので、『七四』『桜と日章』と植木シリーズという形で作品を書いています。

 ただ私はが昔から親しんできたのは歴史時代小説で、何とか自分も書いてみたいと思っていました。操觚の会という歴史時代小説の団体に属しているのも、そのような理由からです。

 操觚の会の初めてのアンソロジー『幕末 暗殺!』(中央公論新社)で「明治の石」という短編を書いたことがありますが、長編の単著はまだでした。

 その後、さくら市で行った講演会がきっかけで、栃木県さくら市と操觚の会のコラボレーション小説を作ることになり、私が書くことになりました。多くの方のご尽力とご縁がありまして、『嶋子とさくらの姫』とのタイトルで、さくら市のウェブサイトで連載を始めました。
 その際の経緯などはこちらにまとめております

 無事連載を終え、『嶋子とさくらの姫』は、大幅に加筆修正(110枚ほど)して、『さくらと扇』とタイトルを変え、徳間書店から単行本として刊行しました。
『さくらと扇』の徳間書店の内容紹介ページはこちらです。

 以下の項目に分けてどんな物語なのか説明します。

登場人物たち
物語の流れ
特殊な藩、喜連川藩と『さくらと扇』の背景について

 登場人物たち


 主人公は足利尊氏の血を引く公方家の娘二人、足利嶋子(しまこ)と足利氏姫(うじひめ)です。

 二人は関東の下野国にあった喜連川(きつれがわ)藩という、石高五千石ながら十万石の大名の扱いを受けた特殊な藩の設立に深く関わっています。
 ※喜連川藩についての説明はこちらです。

 嶋子と氏姫を中心に、嶋子の夫、鉄砲の名手、塩谷惟久(しおのや これひさ)、その腹心で居合の達人、高塩弥右衛門(たかしお やえもん)、二人の姫に侍る戦国最弱大名、小田氏治(おだ うじはる)――天庵(てんあん)などが活躍します。

 彼女たちの住まう関東に迫る豊臣秀吉を始め、徳川家康、石田三成、伊達政宗、佐竹義重なども登場します。


『さくらと扇』家系図

 物語の流れ


 序章は、本能寺の変が起きた天正10年(1582)。15歳の嶋子と天庵が、ある出来事に巻き込まれ……!


 本章は、小田原征伐の天正18年(1590)から、慶長20年(1615)の大阪夏の陣までの長い期間を書いています。

 第一章「晩秋の扇」は、豊臣秀吉が関東に攻め込んだ小田原征伐から始まります。
 嶋子は下野国、大蔵ヶ崎(おおくらがざき)城の城主、惟久の元へ嫁いでいましたが、北条方についた惟久は、なぜか嶋子も城も捨てて出奔してしまいます!
 雲霞のような軍勢を率いて秀吉は、宇都宮までやってきました。
 さて、どうする嶋子!?

 第二章「籠中の鳥」も同じく秀吉の小田原征伐からです。
 風前のともしびの古河公方、氏姫の視点から物語は進みます。
 古河城は争わず秀吉に降ります。失意の氏姫の前に現れたのは、嶋子の父の頼純(よりあつ)と、謎の若武者。
 秀吉への馳走を求める頼淳に対して、氏姫が取った行動は?

 第三章「鞍馬の狐」は、惟久の腹心であり友の弥右衛門の視点です。ある決意をした弥右衛門らは京に向かいます。千利休の切腹、秀吉の母と鶴松の死、そしてある人物の死。

 第四章「浪速の夢」からは、嶋子と氏姫の視点が交互に進みます。ある謎を解くために嶋子と氏姫が奮闘します。甲斐(かい)姫が登場。秀吉の死まで。

 第五章「女子の戦」は、新しい命、関ヶ原の戦いとその後まで。

 第六章「紅蓮の炎」は、頼淳や天庵の死。大阪夏の陣……。


 終章「皐月の空」は、大坂の陣以後から、嶋子が息を引き取るまでの明暦元年(1655)までを描きます。

 数十年に及ぶ二人の姫の生涯を追った大河ドラマです。

『さくらと扇』地図

 特殊な藩、喜連川藩と『さくらと扇』の背景について


 江戸時代に喜連川家が治める喜連川(きつれがわ)藩という珍しい藩がありました。下野国塩谷郡喜連川(現在は栃木県さくら市)に存在していたこの藩は、石高はわずか五千石です。
 一万石以上の所領を持つ者が大名であり、藩を名乗ります。喜連川藩は厳密に言えば、藩でもなく、喜連川家は大名でもありません。

 でもそんな小藩でありながら、藩主は四品格(加賀前田家や仙台伊達家などと同じ)に叙され、諸侯扱いで十万石相当の国主なみの家格でした。
 高い尊称である御所号を許され、国勝手(参勤交代の免除と妻子の在国許可)、諸役御免(幕府からの諸役賦課の免除)などの特例が認められていました。

 喜連川家は、大名でも旗本でもない上に、徳川将軍家との明確な主従関係すら存在しない特殊な存在であったのです。
 明確で厳密な幕藩体制の中で、なぜこのような藩ができ、幕末まで続いたのでしょうか?

 その謎は、戦国時代にまでさかのぼります。

 戦国時代の関東地方のど真ん中、下総国古河(現:茨城県古河市)には古河公方と呼ばれていた足利家の一族がいました。

 室町幕府を開いた足利尊氏は京都に幕府を置きますが、足利氏発祥の地である関東は遠く、幕府が直接管理するのは難しいということで、統治のために鎌倉府を置きます。自らの四男である基氏(もとうじ)を、その鎌倉府の長官に任命し、関東公方と呼びました。
 関東公方は五代目の成氏(しげうじ)の時に、鎌倉から古河に移り、以降は古河公方と呼ばれることになります。

 戦国時代の古河公方は五代目の義氏(よしうじ)でしたが、賤ヶ岳の戦いが起きた天正11年(1583)に亡くなります。残されたのは、数え年でわずか十歳の氏姫一人だけでした。男子もいたのですが早世しました。
 当時、関東を支配に収めつつあったのは後北条家です。古河公方も北条家の庇護下にあり、氏姫の母親は北条氏康の娘である浄光院でした。

 数年後の天正18年(1590)、天下一統を目指す豊臣秀吉が関東に攻め入りました。北条方であった古河公方は、戦わずして降りました。小田原城も落ち、関東は秀吉の国替え令により家康が治めることとなります。
 氏姫はまだ夫を迎えておりませんでした。由緒正しい公方家の歴史が途絶えようとしていたのです。

 そこに登場するのが、同じく足利の血を引く嶋子です。嶋子は氏姫の父親である義氏のいとこになります。
 嶋子の祖父である義明(よしあき)は、三代目の古河公方、高基(たかもと)の弟ですが、兄と対立して小弓公方を名乗りました。小弓公方は北条家と組んだ古河公方により滅亡します。唯一の遺児であった頼淳(よりあつ。嶋子の父)は、安房国(千葉県南部)の里見家の庇護を受けます。

 秀吉の小田原攻めの際、嶋子は下野国塩谷郡喜連川の大蔵ヶ崎(おおくらがざき)城の城主、塩谷惟久(しおのや これひさ)の元へ嫁いでいました。
 惟久は北条方でありましたが、戦ののち恭順することもなく、出奔――城も嶋子も捨てて逃げ出してしまいます。
 秀吉の元へ向かった嶋子は、公方家の存続を願い、嶋子の弟である国朝(くにとも)と氏姫が結ばれることとなりました。その代わりなのか、嶋子は秀吉の側室となります。

 無事に存続されることとなった公方家ですが、国朝は文禄の役に従軍するために九州に向かう途中、安芸国(広島県)で病死してしまいます。
 氏姫との間にはまだ子供が生まれていませんでした。続いた公方家存続の危機ですが、氏姫が国朝の弟である頼氏(よりうじ)と再婚することにより、回避されました。

 その後、氏姫は一子、義親(よしちか)を生み、その子の尊信(たかのぶ)が、足利から喜連川に改名した頼氏の後を継ぎ、幕末まで喜連川藩を治める喜連川家として残ることとなります。
 喜連川氏は明治維新後に足利氏に復姓し、現代まで続いています(現当主は足利浩平さんです)。

 秀吉、家康という新しい権威の前に、旧来の名家である足利家が残ったのには、二人の姫の活躍があったのです。


 その二人の姫を主人公にした物語が『さくらと扇』です。
 実は喜連川藩成立までには、史実として残っていない多くの謎があります。

・嶋子がなぜ安房から遠い下野の惟久の元へ嫁いだのか?
・惟久はなぜ出奔したのか?
・秀吉はなぜ嶋子の願いを聞き入れたのか? なぜ側室に?
・国朝は病死と伝わっているが、本当なのか?
・家康がなぜ喜連川藩を認め、優遇し、敬ったのか?
・国朝、頼氏と結婚しても氏姫は、下野の喜連川に行くことなく、生涯を古河の鴻巣御所で過ごしたが、なぜか?
・大坂夏の陣の際、秀頼の子である国松は処刑されたが、娘の天秀尼は許され、鎌倉の東慶寺に住持として入山できたのはなぜ?

 これら多くの謎の答を、作家の想像力をもって紡ぎあげました。

 戦国時代を熱く生きた二人の姫と、それらを護った哀しき男たちの物語を、ぜひともお楽しみください!


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